こんにちは!
初めてブログを投稿します(^^)/

先日ハリスさんにお奨めしていただいた、モロッコに行ってきました。
もちろん著書の『モロッコ オン ザ ロード』も読んで、ワクワクをフル充電させて行きました(笑)

※かなり長いので、5分以上の時間がない方はご注意ください(笑)

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楽しい思い出を書く前に、

今回の旅では、辛かったけれど貴重な経験をしました。
まずはそれについて書きたいと思います。


ワクワクして旅立ったものの、今回はとてもタイミングが悪かったです。

現地には今、アジア人がほとんど歩いていないため、僕はとても目立ちました。

モロッコ人はアジア人=中国人に見える人が多いとのことで、僕は町行く人々から
「コロナ!」
「Oh, Corona. Don't touch me!」
と罵られまくり、差別的な扱いをたくさん受け、ネガティブなことがたくさんありました。

かなりメンタルが強い僕ですが、どこの街にはアジア人がほぼ皆無で、知り合いもいない孤立状態でしたので、さすがに街を歩くのが怖くなりました。
みんなが自分のことを「コロナ」と侮蔑の目で見ているように感じられ、堂々と胸を張って歩けなくなってしまいました。

みじめで、自尊心がケバブのように削られて、帰国するまで回復できませんでした。

※僕に差別的な扱いをしたのは一部の人だけです。
ほとんどのモロッコ人はフレンドリーで、明るくて、優しくて、超いい人たちでした!


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僕は決して、「彼らはひどい」と伝えたいわけではありません。


この貴重な体験を通じて思ったことは、
【あぁ、オレも同じようなことをしてたかもしれないな】
ということです。

たとえば、
中国語で話してる集団がマスク無しで居たりすると、一瞬「むむむ…」と思ったことがある人は多いと思います。

正直な本音を話すと、僕は「げげ…」と感じてしまいます。中国の人が数人エレベーターに乗ってきただけでもです。
理屈では分かってても、感情ではどうしてもネガティブになってしまいます。

僕は、感情が「怖い」と思ってしまうこと自体はある意味では仕方ないと思います。
いくら脳みそで分かってても、人は弱く、感情的な生き物です。


そんな時に、彼らが過ぎ去った後に小声で
「マスクしてほしいよねー」
「コロナじゃないかな」
などと、僕は言ってなかったか? と自問しました。

もし言ってたとしたら、彼らに聞こえてたんだと分かりました。
そして、昨日の僕と同じ思いをさせてしまっていたということが分かりました。

あの時の彼らの姿は、中国人を怖がる僕(あるいは一定数の日本人)の姿そのものだと思ったんです。

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もう一つ、今回の経験を通じて分かったことが、
【思うことと、言葉にすることは、全く別の次元である】
ということでした。

感情がネガティブに動いてしまうのは人間である以上防ぎきれないものがあります。
しかし、その思いを「言葉」にすることは全く別の次元です。

その言葉は、確実に本人に届き、言葉の壁をあっさりと通り抜けて心に突き刺さっています。

今回、それを身をもって体感しました。

僕は普段、日本に住んでいる日本人なのでこのような扱いを受けることはまずありません。

むしろ、今までの人生で、差別や不当な侮辱を受けた記憶がほとんどありません。

(欧米でも一度もありませんでした)

なので僕は、
「いくら感情が動いたところで、誰かを傷つけるかもしれないことは決して言葉にしないようにしよう」
と自分に誓いました。


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という経験をしたものの、僕は

「絶対にまたモロッコに来よう!!」と思いました(笑)


ネガティブなことなんて吹っ飛ぶほどの素晴らしい惑星の自然に、

僕は何度も魂が震え、圧倒的な異質、圧倒的な自然に、完全にノックアウトされました。


たとえば…

・浦沢直樹『monster』の「終わりの風景」を連想させるような、見渡す限り何もない地平線。
本当に何もない地平線が続くと、心の中が空っぽになり、怖くなるんだと分かりました。
あぁ、ここで終わりなんだ…
もう何もないんだ…
と肺のあたりにポッカリと空虚が訪れた感覚を、僕は初めて味わいました。

・ライオンキングのオープニングのような、圧倒的な存在感の日の出。
その直前の、地球が虹のリングに覆われる時間。
(実は空って、虹色のリングで囲まれていることを初めて知りました)

そして遠くで空中に静止する気球たち。

ガタガタ震えるほど寒い日の出から
わずか2時間で気温は10度以上あがり、
4日間も雲一つない空が続きました。

・あまりにも美しい、コウノトリの滑空。

・街路樹のオレンジの樹にはたくさんの実がなり、
まるで雪のように、白い花びらが地面に降り注いでいる光景。

・土砂漠に点在する家々の、密集、点在、放置。
そして骨から水分が抜けて崩れていくような、乾燥した朽ち方。

モロッコの自然はあまりにも異質で、圧倒的でした。

もっと回りたい。

もっと味わい尽くしたい。

より深く、この圧倒的な自然の中に入っていきたい!

僕はモロッコの、アフリカの自然に、心を射貫かれてしまいました。


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僕は旅の途中にこんな経験をした時に、いつももどかしくなります。
この気持ちを、この場でどう表現すればいいんだろう。

「うひょー!」と叫ぶのも違うし、列車から飛び降りて大地にダイブするわけにもいかないし、ただ写真や動画を撮ることしか出来ない。

この驚きや感動を、どうかこのままとどめておきたい。
なんとかホールドしておきたい。

そう思ってもどうすればいいか分からず、拙い文章や写真で現実を再構築するしかありませんでした。

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旅から帰るとき、
「やっと帰れる…」という気持ちと、
「あぁ、終わってしまった」という気持ちが入り混じります。

なぜ僕は旅をするんだろう?と自問しましたが、
今回よく分かりました。
旅は、【生きているという行為そのものの凝縮】だと思いました。

全てを自分で決めて突き進み、
多くの人やドラマと出会い、アップダウンを受け止める。

空を切り裂くモスクの輪郭に心がハッと止まり、
どこまでも続く地平線を見て自然への畏怖を感じ、
カオスと喧騒が渦巻く埃っぽい街をあてもなく歩いていく。

そうしていると、
自分が壮大な惑星の中にいること、
人生というストーリーを生きていることを、
体と魂の両方で実感しました。

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日常という楽園に帰ってきて、心から安心します。
けど、きっとまた少し経ったら旅に出たくなると思います。

その時は、今度はクレイジーな友達を誘って、
旅の素晴らしさを分かち合おうと思っています。

一人旅も得るものは大きいですが、

気心知れた仲間と行く旅は、さらに素晴らしいものになるだろうと思いました。

さて、それでは次なる旅に向けて…
五月に生まれる「2人目の子供との生活」という、未知の旅へ(^^)/

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※余談
アフリカ人とアラブ人ばっかの毎日だったので、

帰りの京成成田線の駅や電車の中で
「うわあ!日本人がいっぱいいる!日本人がいっぱいいるよおおおお!」
と1人でテンション上がってた僕は、完全に変質者でした。